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王道は危険

こんにちは! 河東遊民です。

今日は『王道は危険』という創作に関するエッセイを書きましょう。

まず、はじめに言っておきたいのは、これから僕が語ることにはなんのエビデンスもないということです。単なる僕の思考なので、参考にはしないほうが良いでしょう。また、一般的に言われていることの逆でもあります。だから、多くの人にとっては、この考えが受け入れられないだろう、ということもよくわかっています。それでも、たぶん10年くらい経てば、僕の考えが正しかった、とわかるときが来るでしょう。なんか、予言者みたいなことばかり言ってますが……。

さて、王道の話です。王道と一言で表現しても、なにがなんだかわかりません。創作における王道とはなんでしょうか? 僕が考えるのは、ありきたりの展開のものが王道です。つまり、主人公の目的がはっきりしていて、魅力的なキャラクターがいて、盛り上がるところがあって、最後はちょっと感動できて……みたいなものですね。基本的に、爆発的に売れる作品は王道のものが多いです。それは間違いのないところでしょう。

そういうわけで、創作をビジネスとしてやるときには、王道を目指すほうが良い……というのが一般的な意見です。そのほうが大衆に広く受け入れられやすいからです。毒というか、奇をてらう部分は最小限で、ほとんどは王道で良い。映画の脚本術の本なんかにも書いてあることです。『ほとんど同じだけど、ほんの少し違うものをつくれ』それがよく言われている正攻法にして成功法でしょう(こういう言葉遊びはださいと思う)。

僕も、大当たりを狙うなら、徹底的に大衆に向けて王道の作品を書くのが良いと思います。さて、ここでひとつ考えたいのは、本当に王道のものは売れるのか、ということでしょう。完全に王道の展開で、基本的にはいままで売れていたものを踏襲しており、ちゃんと面白いのに売れていない作品は、ひとつもないのでしょうか? そんなことはありません。王道を守っているのに、面白いのに、それでも売れていない作品なんていくらでもあるのです。つまり、大ヒット作品は王道であることが多いけれど、その何十倍も、売れなかった王道の作品がこの世界にはあるのです。その部分を見落としている人が多いでしょう。

僕は、新人ほど王道を外したほうが良いと考えています。その理由は、王道とは安心して楽しめるもので、それはいままでに実績のあるベテランが得意としている分野だし、いままでに大量の傑作があるからです。いまさら王道のものをぽっと出の新人が書いても、過去の作品をすべて打ち破れるような新しさを出すのは非常に難しいでしょう。だから新人ほど王道で勝負するのは危険なのです。いえ、もちろん、当たればでかいのですけどね。

じゃあ、どうすれば良いのか……というのは、つまり王道ではない、変なもので勝負をすることです。こちらはニッチを狙うという手法で、はっきり言ってそれなりに危険です。もちろんニッチ過ぎても良くないのですが、ほどよく王道から外れた変な作品は、新しいもの好きの層に一定数受ける……と僕は考えます(ここにエビデンスがあれば説得力が増すのに、エビデンスがないので単なる妄想である)。

変な作品……だけど面白いというものが書ければ、大当たりはしませんが、小当たりくらいなら狙えるでしょう(ここも妄想)。コツコツとヒットなのか犠牲バントなのかをつづけていって生き残る……という戦略もあると思うのですが、なかなかわかってもらえません。実売6000、7000という数字なら王道でなくても達成できるはずだと思います。10万、20万という超ヒットを狙うときには、たしかに王道でなければ厳しいとは思います。

王道の作品は、当たるときは大当たりだけれど、基本的には外れくじで、死屍累々なのです。ほんの一握りの生き残りを見て、王道って儲かるし素晴らしいね、と言っているだけだと僕は思います。ちゃんと死亡者の数も見たほうが良いと思うのですが……。まあ、出版業界というのは、一部の大当たりで大量の外れを補うようなビジネスなので、それはそれで最適解なのでしょう。それでも、細く長くつづけたいのであれば、僕は王道を外したほうが良いと思っています。もちろん、単に外せば良いってものでもないんですけどね。そこが難しいところです。マイナー過ぎてもだめだし、メジャー過ぎてもダメだし……

王道というのは、競争率100倍で当たればでかいが、基本的には外れてゼロになる、というのが僕の考えです。王道を外したもの、まあ邪道とかマイナーみたいなものは、競争率が2~多くても10倍で、当たったときのリターンは大したことないけれど、小当たりを引きやすい、というのが僕の考えです。

王道の話をすると、必ずと言って良いほど『君の名は。』の名前が出ます。新海誠が王道の作品を書いたからホームランを打てたんだ、だからきみも王道を書きなさい、というような流れになります。しかし、忘れないでほしいこと、そして、よく考えてほしいことは、新海誠は『君の名は。』でホームランを打つ前にヒットを打っていることです。『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』でヒットを打っています。ちょっとマニアックな展開で、王道をやや外れていますが、それでもヒットを打っていることを忘れてはいけません。ヒットを打って、それなりの地位を得たあとで『王道』に挑戦しているのです。これはIFの話なので考えても無駄かもしれませんが、新海誠が新人のときに最初から『君の名は。』を出して、同じくらいのホームランが打てたでしょうか?

まあ、僕は自分の意見が正しいとは思っていません。他の人の意見のほうが基本的には正しいと思っているので、王道を狙ってくれと言われたら王道を狙うことにしています。大当たりを引ける可能性も、少ないながらありますしね……。

この、変なものは手堅く小当たりを引けるんだ、というエビデンスがたくさんあれば良いのですが、それを調べる手間があって大変です。そこそこ売れているものって、なかなか目立たないんですよ。重版していないけれどひっそりつづいている、みたいなシリーズがこの世界にはあるはずなのです(エビデンスなし)。

ちょっと真面目な記事を書いてみました。

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